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「産業革命」は人類史上、その後の人々の生活にもっとも劇的な変化をもたらした出来事です。
「産業革命」は、たんに生産技術の進歩というだけでなく、その後の社会構造までも変化させてしまったからです。
大量生産、交通手段の発達、資本家と労働者という新たな階級の登場……。
もちろん、こうした変化は一夜のうちに起こったわけではなく、18世紀後半の数十年から1世紀以上をかけて徐々に進行していったものです。
しかし、そのインパクトからいえば、それはまさに「革命」だったといえるでしょう。
![]() しかし、人々は綿製品を強く欲していました。 そこでこれをビジネスチャンスと捉えた業者たちは、原料である綿花を輸入し、綿布を自らの手で生産しはじめました。 政府の禁輸措置は製品に限ったもので、原料を海外領から輸入し、国内で製品化することに問題はなかったのです。 ![]() こうした機械工業化の流れは繊維工業だけには止まりませんでした。 というのも、大量生産が可能になれば、原料や製品を運搬する手段にも技術革新が求められます。 するとこんどは機械自体の材料を製造する製鉄業にもそれが必要となり、 さらにこれらの動力源を生産する鉱業にも増産のための機械化が求められるといった具合です。 こうして機械工業化の波はあらゆる産業分野へと波及していきました。 そしてこの流れがやがて他国にも及んでいったのです。 ![]() また、1819年にはフランスでローランがパーコレーターの特許を取得しています。 この装置は熱湯が管を通って上昇し、コーヒーの粉の上に降りかかって抽出をおこなうというもの。 イギリスやドイツでも特許が与えられ、広く普及していきました。 ことにアウトドアで便利だったため、西部開拓時代のアメリカで広く普及し、その後コーヒー抽出法の主流の座を占めるに至りました。 1840年にはサイフォンの原型が発明されました。 気圧差を利用したこの抽出器具を考案したのはスコットランドの造船技師、ロバート・ナピアー。 ただ、ナピアー式のサイフォンは私たちの知っているサイフォンとはちょっと違っていて、加熱するフラスコと抽出漕が左右に並んでいました。 これがその後フランスで改良され、現在のようなグラスバルーンを上下にふたつ連結した形になっていきます。 ドリップ式、パーコレーター、サイフォンの誕生。 もちろん、これらは「産業革命」と直接の関係はありません。 しかし、これらの新しい抽出法の登場は、コーヒーの味を劇的に変化させることになりました。 世界史の上で「産業革命」が起こったのと同じ時代、コーヒー史の上では「抽出革命」が起こっていたのです。 |