Coffee Column - コーヒーのはなし


◆コーヒー三原種



 植物学ではふつう、植物を「科」「属」「種」の順に細かく分類していきます。 たとえばソメイヨシノなら、「バラ科サクラ属ソメイヨシノ」。 サクラとバラは見た目にはまったく異なりますが、分類上は同じ科に属する植物なのです。

コーヒーノキ  コーヒーが属するのは「アカネ科」です。 「コーヒー」というのは「属」の名前。アカネは「ツル状の草」ですが、コーヒーは「常緑樹」で、サクラとバラ同様、 やはり両者は見た目にはまったく似ていません。 「コーヒー属」は40種あまりの植物で構成されたグループです。 その中で、現在飲用とされているのは「ロブスタ種」「リベリカ種」「アラビカ種」の3種。 そんなことからこの3種は、一般に「コーヒー三原種」と呼ばれています。

「ロブスタ種」は病害虫にも強く、栽培しやすい品種です。 しかしこの種の生産量は、世界のコーヒーの20~30パーセントほど。 「ロブスタ種」のコーヒーは風味に欠けるため、ふつう缶コーヒーやインスタント・コーヒー用にしかならず、 商品価値が低いのです。 「リベリカ種」も、低地栽培が可能な丈夫な品種です。しかしこれもやはり風味に欠けるため、 その生産量が占める割合は、コーヒー全体のごく僅かにすぎません。

 さて、三原種の中で味わい、香りともに優れ、いちばん美味しいのが「アラビカ種」です。 そのためこの種は商品価値も高く、世界のコーヒーの全生産量の約70パーセントまでを占めています。 「モカ」や「ブラジル」といったストレートはもちろん、それらを配合した「ブレンド」の中身も、 高級なレギュラーコーヒーは、ほとんどすべてがこの「種」のコーヒーです。 「アカネ科コーヒー属アラビカ種」ですね。